裁判を傍聴してると、原告と被告の主張が全くかみ合わない! なんてよくあること。
記憶違い、勘違い、解釈の違いなんかもあるけど、どっちかが嘘をついているわけですね。
恐ろしいことに、彼らはしれっと嘘をつくのですよ。
「よく聞け!俺には8千人の部下がいる!」
とか、
「聞いてくれ。俺は実は島に入ってはいけない病なんだ」
みたいなわかりやすい嘘はつかないわけです。
証言台で嘘をつくと罰せられるよ、と最初に言われるにもかかわらず、嘘をつくわけです。
今回は、僕の主観と心理学の観点から、嘘の見破り方の話でもしてみようかな、と。
見破り方、というよりは、「もしかしたら、こいつの言ってることは嘘かもしれない」と警戒する方法ですね。
①言い訳から入る
裁判で質問された時、「はい」か「いいえ」でこたえられるものは、「はい」か「いいえ」で答えなければいけません。
「あなたはパンを盗んだんですか?」と聞かれたら、「はい、盗みました」か、「いいえ、盗んでません」で答えなければいけません。
ところが、嘘をついている人たちは、同じ質問に対して「いやぁ、おなかすいたなぁ~って思ってたら、たまたまパンが置いてあるのを見ましてね、お店だなんて気づかなかったし、まさか商品だなんて思わなかったんですよ~」と言い訳から入るのです。
で、弁護士から注意されます。
「『はい』か『いいえ』で答えてください!」
「ですから、商品だと思ってなくて……」
「『はい』か『いいえ』で答えてください! 言い分は後で聞きます! 盗んだんですか!? 盗んでないんですか!?」
「ですから……」
「盗んだんですか!? 盗んでないんですか!?」
「……盗んだか盗んでないかと言われれば……、結果的に盗んだことになるかな……」
「認めるんですね!?」
「……盗みました」
こんな感じです。
心理学的にも、嘘つきは少しでも自分に有利に進めようと、しゃべりすぎる傾向があるようです。
②言い訳を付け足す
質問に対して「はい」か「いいえ」で答えたときも、まだ注意が必要です。あとから言い訳を付け足す場合もあるからです。
「はい、盗みました。でもそれは……」といった感じです。
すなわち、
「はい」か「いいえ」でこたえられることを、「はい/いいえ」で答えない、「はい/いいえ」+αで答える奴は要注意です。
③対立する相手をけなす
「とにかく、向こうはとんでもねーやつなんだ」と印象付けるためです。相手をけなすような発言があったら、言葉通りに受け取らないように気を付けましょう。
④対立する相手をかわいそうなやつだと思わせる
どういうこと? けなすのとどう違うの?
けなすのは「あいつは日ごろから暴力をふるうようなやつで」とかそんな感じですよね。
そうではなく、例えば「彼は親の介護と不景気による仕事の激減が重なって、精神的に追い詰められていたんです」みたいな、相手に情状酌量の余地がある、相手がこんなトラブルを起こしてしまうのも、しょうがないことなんだ、みたいに思わせるテクニックです。
そのうえ、「私は、そんなトラブルメーカーなあいつの心情を思いやれる、広い心の持ち主なのです」と暗に思わせようとしているのです。
かなりの高等テクニックだと思います。
⑤都合の悪い時だけ記憶がない
物忘れは誰にでもあります。
しかし、それがあまりにも多く、なおかつ、都合の悪い時だけ「覚えてないです」って場合は、額面通りに受け取らないことが大切です。
ここまで書きましたが、これに当てはまる人が必ずしも嘘をついている、というわけではありません。
あくまでも、嘘をついている可能性があるから、警戒しましょう、という話です。
さて、騙されないために一番重要なこととは何か。
それは違和感を感じたら、受け流さないこと!
「なんかさっきと、言ってること違くない?」
「今の答え、説明になってないよね?」
「なんかそれ、おかしくない?」
こういう小さな違和感を、決してスルーしないこと!
よくわかんなかったけどまあいいや、と受け流さないこと!
納得いくまで突っ込みを入れてください。
最後に、裁判傍聴のみで使える、嘘見破りテクニックを2つ。
①対立する相手の顔を見る
原告がしゃべってる時は被告の顔を、被告がしゃべっている時は原告の顔をなるべく見るようにしています。
すると、首を振ったり、「うそつき」とつぶやいたり、あきれるように笑ったりと、たまに反応があります。
裁判官と向き合って、注目されている「しゃべってる方」よりは油断してるはずなので、リアクションが信用しやすいと思います。
②裁判官の質問数が多い
あなたが聞いてて納得できなかった話は、裁判官も納得していません。必ず突っ込んできます。
話を聞いていて「この人、嘘ついてるんじゃないか」と思ったら、最後に行われる裁判官からの質問に注目しましょう。
質問の数が多い、なおかつ、その答えもまた納得できるようなものではなく、裁判官も納得してなさそう。
そういう場合は、僕はもう、ほぼクロだなと考えています。
もっと嘘見破りスキルを磨いてみたい、そんな今日この頃です。