今回の被告は70代のおじいさん。罪状は「窃盗」と「傷害」。
事件のあらましはこうでした。
とある郊外のホームセンターで、おじいさんが実に3000円分の商品を万引きしたのです。
その手口は、あらかじめ手に入れていたその店のレジ袋に商品を入れて、さもレジを通したかのように装うというもの。
しかし、万引きGメンは見ていました。
お店を出たところで「お支払いがまだ済んでませんよね?」声をかけます。
すると、おじいさんは何かをわめきながら、Gメンを強く掴んだそうです。
びっくりするGメン。そこに応援に駆け付けた警備員が現れ、おじいさんを捕まえようとしましたが、おじいさんはそれを振り切って逃走。
その後、警備員が追い付いて再びおじいさんに組み付きますが、おじいさんは警備員を突き飛ばし、転倒した警備員は地面に顔を強打。彼の欠けていたメガネは壊れてしまいました。
「これ以上暴れたら、強盗罪になるぞ!」
そんなこんなでおじいさんを確保し、万引きは「窃盗」、警備員を突き飛ばしたことは「傷害」として起訴されました。
なぜ、おじいさんは万引きをしたのか。その動機は何と「生活費の節約」!
……その節約術を使っていいんなら、みんなやっとるわ!
ちなみに盗んだものはキャットフードがメインで、なんでも近所の野良猫に食べさせるのだとか。
それは買わなくてもいいものだ! 生活費を節約するんなら、「買わなくていいもの」は買うな!盗むな!
おじいさんは「お店に来て、キャットフードを見て、盗むことを思いついた」と主張していますが、検察官は「最初から万引き目的で来ていたんじゃないんですか?」
だって、おじいさんは最初からレジ袋を持っていたのですから。
おじいさんの主張は「いつもレジ袋を持って散歩してるんです」
とはいえ、「なぜレジ袋を持ち歩いているのか」という質問の答えはあやふやで、そこだけ妙に身振りが大きかったです。
一方、裁判官はおじいさんの「前歴」に引っかかっていました。
実はおじいさん、前科6犯! いずれも万引きで、最後に捕まったのは40年前。
「この40年間、万引きはしてなかったんですか。しょっちゅう万引きしてて、たまたま見つからなかっただけ、ということはありませんか!?」
「いえいえ! そんなことはありません!」
と否定するおじいさんの身振りがまた急に大きくなり、わかりやすいおじいさんだなぁ、と思ったのでした。
そして、おじいさんは「いきなり声をかけられてびっくりした。『一緒に事務所に行きましょう』と言われれば逃げなかった」と言い放ちました。
これに対しては裁判長が一喝!
「保安員の対応が悪かったと言いたいんですか!? どこの保安員も同じような対応をしますよ? 『一緒に事務所に行こう』と言われたら逃げなかった? そういう前にあなたが逃げちゃったんでしょう!?」
最後に何か言いたいことはあるかと聞かれ、被害にあったホームセンター〇〇への謝罪の言葉を口にするおじいさん。
「もう〇〇には行きません!」
いや、そうじゃなくて、「もう万引きはしません!」だろー!!