前回までのあらすじ
友人(会うのは3回目)に誘われて怪しげなビジネスセミナーに参加した自由堂ノック。
そこはビジネスセミナーとは名ばかり、マインドコントロールの手法が随所にちりばめられた、マルチ商法「A社」のセミナーだった!
嘘やマインドコントロールに詳しい私があっさり騙されるわけもなく、無事帰ってきたのであった。
怪しいマルチ商法のセミナーに連れ込まれて、無事生還した話
さて、そこで話していたネズミのかしら……、失礼、Yさんという人が「よかったら僕の動画見てみてね」とおっしゃっていたので、今回その動画を見てみました。
できれば、その動画をここに貼りたい! 会社名も「A社」なんて少年Aみたいなのじゃなくて、ちゃんと書きたい! ネズミのかしらの名前も書きたい!
でも、
それをやったら名誉棄損! 名誉棄損は、言っている内容が事実だろうと成立するのです。
文句があるなら国会に行ってください。
まあ、この動画を見るのはお勧めしません。
だって、
1時間あるんだもん。その人、いくつか動画をアップしてるけど、全部1時間オーバー。
長いわ!
ちなみに、裁判では話の長い奴は信用できません。
動画をアップしたのは最近ですが、撮影したのは10年近く前みたいです。
動画を直接貼り付けて、「これがマルチ動画だ!」ってやっちゃうと名誉棄損なので、動画の詳細だけ書きます。話の内容はこんな感じ。
3分 この洗剤はすごい(権威性をアピール)
4分 カタログ紹介
6分 化粧品売上世界トップ5(権威性をアピール)
9分 会社の紹介
9分 本社がでかい(権威性をアピール)
11分 創業者がすごい(権威性をアピール)
13分 正解56か国で展開(権威性をアピール)
14分 資本金がなくてもできる(希少性をアピール)
15分 この会社はメーカーである(早く言え。話が長い)
17分 登録料が必要(今は半額以下)
19分 このビジネスは自由である⇒実態は集会が多い
20分 世の中は平等じゃないけど、このビジネスは平等④
21分 流通の仕組み
25分 ビジネスのしくみ
27分 ある一定のポイントにならないと、金額が上がらない
32分 誤解されやすい(感情の管理)
33分 説明すれば誤解は解ける
47分 利益を上げるには、グループの「子」にあたる人の売り上げる上げる
⇒問題点
52分 「子」が結果を出していれば、「親」のランクが上がる
⇒問題点
53分 上位ランクの平均年収は1000万
57分 ほとんどの人はチャンスに気付かない①
59分 人生が自由になる②
話はこんな感じ。クソつまんない1時間でした。
ところどころ②とか④とか数字がついているのは、マインドコントロールに必要なビリーフの書き換えが行われているか所。それぞれ
①自己、②理想、③目標、④因果、⑤権威を書き換えを試みているわけですね。
気になった所をいくつか。
A社の権威性をアピールする話が多いです。本社がやたらでかいとか、世界中で展開しているとか。
しかし、よくよく調べてみると、いくつか不審な点が。
まず、「化粧品の売り上げ世界TOP5」という点
さすがに10年前のランキングはわからないので、最近のランキングを調べてみました。
いくつかサイトを当たりましたが、確かに「A社の化粧品は世界TOP5」というサイトはありました。
あったんだけど、
具体的にいくら売上げたかが書いてない。
各社の売上金額まで書いたランキングになると、
TOP10にすら入っていないという不思議。
仮に、10年前は本当にTOP5だったとして、
この10年で一体何が起きた?
さらに、「創業者はアメリカの某経済団体のトップだった」という話がありました。
なぜ、「某経済団体」というお茶を濁した書き方をしたのかというと、
この経済団体について調べると、すぐA社の創業者の名前が出てくるからです。
逆に言うと、A社の創業者の名前くらいしか出てこない。
どうやら、日本の総理とたびたび会食をしているのは事実らしいのですが、その割には、なんとウィキペディアにすら載っていない。う~む。
あとは「ノルマも何にもない」と言っていましたが、
一方で「自分が勧誘した人の売り上げアップは、自分の収入につながる」という典型的なマルチ発言をしていました。
それで、「みんな誤解してる」と言われても……。
この
「誤解」というワードはよく出てきました。
A社を批判する人はみんな誤解しているという論調ですね。何をどう誤解しているのかについてはさっぱり語りませんでしたが、
自分たちの外部の人間を悪く言ったりするのは、自分たちへの帰属意識を高めるマインドコントロールの手法です。
また、
成功した話はよくしていましたが、失敗した人の話はさっぱりしませんでした。ネットではごろごろ失敗者の話が転がっているのですが。
さて、1時間この動画を見て思ったことが、
意外と、マインドコントロールの手法が少ない。
割とまじめにビジネスモデル(笑)について説明しています。
だからと言ってこの団体が良心的だと結論付けるのは早計で、この10年後のセミナーではもっと口八丁で、今回1時間かけた話を10分くらいに縮め、残りの80分を「今の生活に満足しているのか?自由が欲しくないのか?このビジネスで成功しよう!今の社会の労働は時間の切り売りだ!それができるのはA社だけ!」という
ビリーフの書き換えに全力を注いでいました。
これは動画用に編集されたものかなとも思ったんだけど、Yさん自身、「普段もこんな感じで説明している」と話しています。
つまり、
Yさんはこの10年でマインドコントロールの手法を学び、身に着けたということです。
不思議です。Yさんはこの道30年の大ベテラン。10年前の時点ですでに「トップ」と紹介されていました。なのに20年以上たってから今更マインドコントロールの手法を身に着けるなんて。
いくつかのサイトでA社の売り上げ、会員数が毎年減少傾向にあると書かれています。アンチのねつ造の可能性もあるので一概には言えませんが、この動画から見る限りやはりそれは事実で、
この10年でYさんはマインドコントロールの手法を学ぶ必要に迫られるところまで追い込まれたということではないでしょうか。
何より、
入会金が現在3600円なのに、10年前は8400円と2倍以上だったということが、A社が急地位立たされている証拠ではないでしょうか。10年以上のスパンがあるとはいえ、半額以下に値下げする理由なんて、1つしか思い浮かびません。